親記事 引用 |
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【短編こっきり随筆】僕がドラクエをやめようと思った理由---その6---
妻の肌をじっと見つめていた。 私とは少し年が離れているとはいえ、妻ももう30代である。 風邪を引いていることも手伝ってか 私が想像しているよりもずっと妻の肌は荒れていた。 すまんなぁ、私が苦労掛けているからあんたの肌もチョッピのように荒れてしまって・・・ すまんなぁ私の稼ぎがもっとあれば・・・ 肌に優しいと言われるあの「札束風呂」を実現してやれるのになぁ・・・ パパも頑張っているんだけど、なかなかなぁ・・・ いつも仕事の合間にコンビニで立ち読みしている漫画ゴラクの裏表紙を見る度に「札束風呂」で大成功しているブサイクなおっさんを見て 「ザンクローネのチビヤロウが何で1位なん!?ほんとザンネンネ」 と同じくらいの心の痛みを感じているんだよ。
今の今まで病床の妻と娘を放って、 二人が就寝中にかこつけてドラクエINして遊んでいた私が 到底言えるような立場でもないのは自分でも理解はしていた。 でも、そこは心をオーガにして妻に対して言わなければならない。 勇気をもらったあのコトバを・・・
私「なぁお疲れ、あのさ」
妻「何?」
私「もちろん風邪引いてビタミンCがケツアルコアトルスなことも原因なんだろうけど・・・言わせてくれ」
妻「だから何!?」
私「どんな苦境や困難な時にでも、心さえ折れなければなんとかなるもんだ」
「昔、この地方の大名である毛利元就が三人の息子たちに言った・・」
「一本の矢ではこのようにして簡単に折れてしまう」
「しかし、この矢が三本重なれば、ほぅらなかなか折れないだろう」
「だから三人の息子よ、お前たちもどんなに苦しい時にでも、、」
「決してあきらめないで あなたたちのお肌」
「あんたも今はひどい肌荒れだけど・・・いつかあの札束風呂にも入れてみせるから・・・だから・・・」
「決してあきらめないで あなたのお肌」
そう言って私はそばに置いてあった 娘の色鉛筆セットの中から赤色と水色と群青色を無造作に取り上げ
3本重ねて一瞬のうちにへし折った!!
私は自分自身がアラフォーになった今現在でも ちょうど洗いたての肌着をつけているかのような 柔らかソフラン仕上げの美肌を持っていることを 一所懸命誇示してみたかったのだ。
この時私は、反応を知りたかったので改めて妻の表情を眺めた
(あぁ、私の愛する夫は今まで周りのヒトたちから美肌を持っているが為にずっと不遇な扱いを受けてきたんだわ!)
と感じてくれたのではないか?
そう思わせるような憂いを帯びた表情を妻は浮かべていた。 だってそうでしょう
誰だって吹き出物に悩んでいるその隣り辺りで
つるつるお肌のオーガばりのガタイのいい男に
プロアクティブのCMソングを一言一句、 ワンフレーズも間違いなく完璧に歌い込まれたら誰だって頭に来るでしょう!
妻はお肌の件で不遇の扱いをずぅっと受けて来た私の気持ちを汲んでくれ、 何も言わずにそっと胸に飛び込んで来てくれました。
このラブラブハッピーエンドの流れで あわよくばタイタニックのように妻に両手を広げさせて後ろから抱きつくやつをやってみて
更に私に対してラブラブチュッチュにしてやろうとも思いましたが、
きりかぶこぞうのような風体で、 未だに私の竜玉を狙っているやつがすぐ近くでニヤニヤしながら待機しておりましたので今回は断念しました。
でも家族3人本当に幸せだなぁと感じましたし
一瞬とはいえメリルに心を奪われてしまってドラクエの仮想現実に
身を委ね家庭ゲシュタルト崩壊に導きかけた自分自身を呪いました
が生憎呪いG100だったので呪われませんでした。
心底反省した私はドラクエ10を辞めることを決意しました!
やはり一番大事なのは家族です。
私「よし!マジでもう寝よう!明日も仕事だから早起きよー!」
夜に好きな異性に恋文を書くと気持ちが高ぶってトンブレラないことになる!とよく聞きますが
私のドラクエ10辞めます宣言(自分の頭の中でしか叫んでないが) も、 そのロジックから成立したような気持ちだったのかもしれません。
このまま翌朝を迎えていたなら、私の気持ちは果たしてどうなっていたのでしょうか。
本当にそのまま辞めてしまっていた?
それとも心変わっていた?
それとも・・・
真ん中に娘を挟んで川の字に横になりました。
その、わずか数分後にあの事件が起きたのです!
つづく(終わらなかったごめんなさいw)
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