Res51 引用 |
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コロンブスの時代、まだ人々は、地球が丸いことを信じていませんでした。そのころ、ヨーロッパ諸国は、貿易を行ったりキリスト教を広めるため、さかんに船で東方にあるアジア進出を目指していました。この時代を、大航海時代と呼んでいます。 イタリア生まれのコロンブスは、東を目指す人々とは異なる考えを持っていました。彼は、地球が丸いことを信じていました。アフリカの南をまわってアジアを目指すよりも、大西洋を西へ進んだほうが、ずっと早くアジアにたどり着けるはずだと考えたのです。もう一つ、コロンブスに航海を決心させたものがありました。それは、マルコ・ポーロの「東方見聞録」でした。そこに書かれていた、黄金の国ジパング(日本)は、ヨーロッパの人のあこがれの的だったのです。彼はスペインの女王の援助を受け、サンタ・マリア号に乗って、西回り計画を実現することになりました。 サンタ・マリア号の乗組員たちは、地図にも載っていない未知の海域へ航海に出ました。どのくらい進めば陸地があるのか、まったくわかりません。彼らは、陸地を発見するまで、たいへんな不安とたたかっていました。そして、二か月以上の航海を経て、ようやく陸地を見つけることができたのです。コロンブスの考えでは、そこはアジアのはずでした。 コロンブスは、西回りでジパングに行く場合、その距離は五千七百キロメートルほどだと考えていました。しかし、実際にはその三倍以上の距離があったのです。地球儀を見るとわかりますが、ヨーロッパから西に向かって大西洋を横断すると、巨大なアメリカ大陸にぶつかります。アメリカ大陸を越えて広い太平洋を横断しなければ、アジアに到着することはできません。実際の地球は、コロンブスが考えているより、ずっと大きかったのです。 アメリカ大陸の存在を知らなかったのですから、コロンブスが新大陸をアジアだと思ったのも無理はありません。彼がアジアだと信じて、最初に上陸したのは、今のバハマ諸島の一つ、サンサルバドル島でした。コロンブスは、上陸した島々に名前をつけ、スペインの領土としました。スペインに帰ったあと、彼の発見はたいへんな評判になりました。彼は一生、自分が発見した陸地をアジアだと信じていたそうです。まさに、知らぬが仏です。 コロンブスは、ヨーロッパ人がアメリカ大陸に進出する道を開きましたが、「新大陸発見は誰にでもできたことだ。」と陰口をたたく人もいました。そこで、こんな話が残っています。コロンブスが、人々に「卵を立てることができますか。」と聞いたとき、そこにいた全員ができないと答えました。すると彼は、卵を少し割ってテーブルに立ててみせました。これは後世の人の作り話ですが、誰でもできることであっても、初めて行うのは難しいということを表しています。 |